時代の無惨のために、 [私の言葉]で、 百年の向こうへうたい継ぐ。 第九交響曲の夜に私のいたはずのの空席にテロの死者が来ている語られぬ悔しさに耐えさまよえる死者たちの声風に紛れる言葉の中に立ち上がるのは輪郭のぼやけたお化け──されど人生 痛切の第四歌集
1990年代の私=あなたがここにいる 短歌と都市は双子の兄弟と語る著者の新歌集
いくつもの季節を遙かに越えて、〈私〉はまた遠い約束をしてしまう。まだ間に合うだろうか。それとも、もう、間に合わないだろうか‥‥。 豊熟の第二歌集。
境界は見えぬがふいに百年の夕闇下りて草匂いたつ 木の椅子は孤島であればからだごと打ち上げられて眠ってしまう 深々と身奥に蓄積された歳月が、時間を越え、境界をなくして、不可思議な揺らぎとなって表出された、恩寵の第四歌集。
佐伯裕子氏「敏感に社会を見つめ、反応していく眼差しは、「閉ざされた老い」のものではない。『花』は、閉塞しがちな老齢社会の現代に、一身を通して、「開かれた老い」をうたい続けようとした歌集である。わたしは、その、またとない老いの宴の一冊を、ともに喜び、送り出したい。」
岡井隆氏「たんたんと描かれているだけに、その自画像には悽愴の気さへ漂ふ。のぼり坂がそのまま下り坂であるやうな不思議なカフカ的心象風景も出現する。『北の医局』に続く第二歌集。どうか一気に読み、さらに一首一首噛むやうに味はつて下さい。」
向日の第二歌集 古谷智子氏「……素直さと簡潔さ、どこまでいっても濁らない透明な心の処女性を刻印していった者がいる。」 佐伯裕子氏「こまかくリアルに描いているにもかかわらず、暗い生い立ちの少年少女が、童話の住人のように見えてくる不思議さがある。」
投げない 投げない もし 遠くまで到りつくものが あるとするなら それは苦しむ塊だけ 深く、すがしい軌跡を刻む新詩集!
さまざまな発想や技法を駆使して大久保春乃が描き出そうとしている世界は、人のこころに浮かんでは消え、消えては浮かび、そして時には時間が戻って来ることもある、そういう人間の一生の心模様なのではないだろうか。全体に流れる霞のような相聞も、一色の恋心ではなく、あらゆるものとの交感という豊かさがある。 (沖ななも・しおりより)
第二歌集